ひざの上の蛍
6月20日
ネパールへの旅立ちの日
目覚めとともに見たホテルの天井には
準備に追われて向き合う暇もなかった不安要素が
朝日にメラメラと照らされて浮かんでいました。
そう言えば 久しぶりの海外の一人旅
初めて訪れる国。
ビザは現地でとれるのだろうか。
あれ?私、英語、話せたっけ?
ここは素直に「空」に聞いてみようと
あぐらをかいて、目を閉じます。
やるべきことは、自分の中にある 願望を消して、
不安も期待も含めて
何も予測しない事です。
「どんな旅になりますか?」
質問は一度だけ・・・
そうすれば、必ず答えは用意されます。
私がそれに気がつけるかどうかはさておき。
その日、しばらく目を閉じて
「今!」と思ったところで目を開くと
私の視野に真っ先に飛び込んできたのは
私のひざの上にたたずむ 蛍でした。
朝日の下に不釣合いな蛍が一匹。
それが質問の答え。
こんなにもシンプルに。
そんなわけで、私の旅は
想像をはるかに超えた美しいものとなりました。
今後、美しい旅について言及する時には
ぜひとも
「旅立ちの日の朝、ひざの上に蛍がとまっていたような旅」
と表現する事にいたしましょう。
私はこのネパールの旅で
街角に 友と囲む食卓の隅に 雲間から差し込む光に
蛍が隠しておいてくれたギフトをみつけました。
そして、ひとつひとつ 開いては 大切に胸にしまい込み
日本に帰ってきたのです。
今、私は、あぐらをかいて こう質問します。
「私はこのギフトを誰かと分かち合う事ができますか?」
答えはひざの上に
もしくは 手のひらに
さて、どこにあるかな?
