4人の時間

6 月13

誰かと一緒に旅をしたりすると

ふとした行動に

その人の個性を発見することがある。

率先して地図を読む人もいれば

ただついて行くだけの人もいたり。

下調べをしっかりしする人もいれば

何も考えずぐんぐん前進してゆく人もいたり。

そういう行動の違いを目の当たりにするとき

わたしは ついつい こんな質問をしてしまう。

「・・・ところで何人兄弟ですか?」

なぜならそういう行動意識は

たいてい家族構成に裏付けられている気がするからだ。

「4人兄弟です。」

・・・と趙さん。

4人かぁ・・・

趙さんの男の人への親しみのある態度と

自己犠牲でもって笑いをとる感じは

もしかして・・・・。

「兄弟は、お兄さん→趙さん→妹→妹の順ではないですか?」

「どうしてわかるんですか?」

「なんとなくわかるんです。

氣功師ですから・・・。」

最後のは適当にくっつけてみただけだけれど

先日、浜辺での氣治療の効果を体験したばかりの趙さんは

「ははぁーっ」

と納得していた。

多分趙さんには

顔の似ていない、どちらかと言えば優等生タイプのお兄さんがいる。

趙さんとお兄さんは深い信頼関係で結ばれていて

その絆と対立するようなかたちで

下の2人の妹が男子禁制の世界を作っている。

多分、この2人の妹は顔も趣味も似ていて

相性もぴったりな双子のような姉妹。

2人は趙さんに無関心なふりをしているけれど

本当は心の底から趙さんを愛している。

・・・わたしも陰陽師S氏の影響で 

目の前の素材で絵を描く癖がついてしまったようだ。

勝手な推測でしかないのだけれど

案外あたるのが不思議。

「林(Lim)さんは兄弟はいますか?」

続いて林さんにそう質問しながら

きっと林さんはお兄さんに違いないと確信していた。

周りへの気配りができて

フォロー上手

いつでも人の良いところを引き出して

褒めようとしてくれるところ

それから相手をよく見て話を聞くところが

うちの兄にそっくりだから。

「2歳年下の妹がいます。」

2歳下ということはわたしと同い年。

やっぱり弟ではなくて妹よね・・・

この素材でどんな絵を描こうかな?と思っていると

「ユカリさんは何人兄弟ですか?」

質問された。

「わたしには7つ上の姉と5つ上の兄がいます。」

イノセントな両親と 年の離れた姉と兄。

この家族構成がわたしの行動原理を形作っている。

旅において露出しがちな特性は

人に甘えてしまうところ・・・

そんなわけで

今日も人の車に乗せていただいているわたし。

林さんの車はよくよく整理されていて

趣味の良い洋楽がかかっていた。

趙さん李さんと3人でヨーロッパ周遊の旅に出たときの話を聞くと

旅先の情報を集めたり ホテルを予約したり 電車の時間を調べたり

そういうプランニングから雑事までの一切を 林さんがしていたのだそうだ。

そう言えば フランスのゲストハウスで

「アニヨンハセヨ」

とあいさつしたら

「こんにちは・・・日本の方ですか?」

と日本語で返してくれたのも林さんで

「韓国に来る事があったら 韓国を案内しますよー」

と言ってくださったのも 林さん。

その後のメールで連絡を下さったのも林さんだった。

こうやって 物事をスムーズに動かして行く事ができるところは

やっぱり頼りがいのあるお兄さんならではだなぁ・・・と関心してしまう。

音楽の話 旅の話 お料理の話などして盛り上がっているうちに

何の脈略もなく30分くらいの眠りに落ちてしまった。

多分 妹のポジションにすっぽりとはまって 

安心しきってしまったんだろうと思う。

着いたところは

きっと日本でいうところの日光江戸村みたいなところ。

韓国の時代劇の撮影現場なのだそうだ。

平日なせいか、わたしたち4人以外 ほとんど観光客が見当たらない。

寝起きなせいもあり

さらに深い陽炎の世界に紛れ込んで行くような気がした。

撮影現場の奥に進むと

本物そっくりの 韓国の宮殿のレプリカ

それから韓国の昔の街並み・・・。

ドラマなどで見て

断片的に記憶に残っている風景が

断片的に設置されているのを見るのは

なんだか少し妙な気がする。

韓国時代劇において とっても重要な

拷問シーンの再現 (林さん主演)を拝見したのち

出口付近にあった池で

しばらく涼もうという事になった。

4人で黙って座っていると

ますますここにいるのが不思議に思えてくる。

数ヶ月前にフランスで出会った個性的な韓国人3人と日本人のわたし。

さまざまな関係性によって作られた4人の個性が

あらたな関係性を作り

絡み合って 反応し合って

1つの時間を作っている。

誰か1人が欠けても 作り上げることのできない

今 ここ にある時間。

本当にすごいな・・・。

関心していると 

雨が降り始めた。

今回、韓国に来て初めて見る雨は

傘をさすまでもないくらいの

日暮れ前の天気雨。

そろそろ行きましょうか・・・というと

林さんはカバンからタオルを取り出して「はいっ」と手渡してくれた。

用意周到とはまさにこの事。

相変わらず その時々に驚きが満ちている。

明日はどんな事が起きるのだろう。

4人でいれば きっと 楽しいことが起こると思う。

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